「眺めたり、触ったり」/本読み人のヨロコビ | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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青山 南, 阿部 真理子

眺めたり触ったり


本の楽しみは、全ページを読まなければ、また、書かれたこと全てを理解しなくては、得られないもの?

いやいや、そんなことはないでしょう。

本棚に並ぶ背表紙を、うっとり「眺め」てみたり、装丁を楽しんだり、時に本棚から抜き出して、ぱらぱらと頁を繰りながら、その手「触り」を楽しんだり…。

「眺めたり、触ったり」の他にも、表紙には「The Feel of Reading」とありまして、だから、これは本を読むその周辺の感情を書いたもの。

勿論、この本自体も、「眺めたり、触ったり」して楽しむことが出来る作りで、阿部真理子さんの絵は眺めて実に楽しく、私は図書館で借りちゃったので、表紙の手触りを知ることは出来ないのだけれど(ビニールパックみたいなのになってる)、内扉(ああ、この部分ってなんていうんだ??表紙めくって、一枚あった次にある、タイトルが書いてあるところ)の紙質も壁紙みたいで楽しい♪

阿部真理子さんのこの表紙、どこかで見たよなぁ、と思ったら、宮部みゆきさんの「心とろかすような 」でした。心とろかすような」は、探偵事務所を営む家族と共に暮らす、元・警察犬マサが語るものなのだけれど、阿部さんの絵はこのお話の魅力への貢献度がとっても高いと思うのです。

この本にも、実に様々な絵が載せられていて、楽しいですよー。「はらぺこあおむし」のように、本を突き抜けたBOOK WORMなどは、本読みのキャラクターにしたいぐらい。あと、阿部さんは犬がお好きなのかな。マサも良かったんだけど、ここに出てくる楽しげに本を読んでいる黒縁めがね犬も実にいいんだ。

テキストは、翻訳家の青山南さんによります。「Ciel Bleu 」の四季さんに教えていただいた翻訳家さんなのですが、本業の方ではまだお世話になったことがありませぬ~。ところで、「南」さんというお名前から、勝手に女性を想像していた私は、のっけからその間違いに気づくのでした。うーむ、作家さん、翻訳家さんの性別は、名前からは分からんなー。

青山さんの文も飄々といい感じ。読むのが遅い、とか嘆いておられるにも関わらず、歯切れのいい文章で、ざばざばと本や、他の作家による書評、作家の言葉がふんだんに語られます。遅読だと仰るから、油断してたのに…、となぜか唇を噛み締めそうにもなるのですが、でも、実は全部読んでらっしゃるわけではなかったりして。笑

読書という、きわめて個人的でひそやかで秘密めいた作業は、あらゆる記憶違い、思い違い、読み違い、を許容する(p194より引用)。

んであるから、私がそうとっても別にいいのかなー。

うん、でも、まぁ、読書というのは、とっても自由なものなのだよ。本を読みながら、精神はそうやって飛翔するんだよね。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。