「世界風紀行―見えない風が見える」/風を写した写真集 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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環境デザイン研究所
世界風紀行―見えない風が見える

これはねえ、いい本ですよ。
定価3200円と、それなりのお値段はするのだけれど、これはちょっと手元に置いておきたい感じ。

たとえばちょっと疲れたときも、ちょっと凹んだときにも、自分が行ったこともない(そして今後きっと行くこともない)世界のどこかでは、今自分がいるところとは違う風が吹いている。

載せられた風も実に様々。

ノルウェーの海岸やフィヨルド内に吹く、幻想的なエルベガスト(Elvegust)、メキシコの、チョコレート色をした土埃から名付けられたChocolatero(チョコレテロ:チョコレート屋)、夏期、アフガニスタンや中央アジアの過熱した平原に絶え間なく吹く、「120日間の風」とも呼ばれるAfganetz(アフガネッツ)、インド半島南西部の海岸のElephanta(エレファンタ:強く激しい風であることから「象」と命名)、中国、黄山の馥郁とした南風、Kai(カイ:凱風(カイファン))、同じく黄山のI Tien Tien Fung(イ・ティエン・ティエン・ファン(一天天風:空の溜息))・・・。

日本のものでいえば、あの凶作をもたらす東北地方のYamase(山背)なども。教科書で習っただけの山背だけれど、いかにも冷害の源になりそうな冷たさが伝わってくる。

後ろに載せられた、「世界風名集」、「日本風名集」も楽しい。風に関する言葉って沢山あるのだ。

色も形も見えない「風」というもの。世界各地の風を集めたこの本は、刊行までに5年の月日を要したそう。厳選された100枚の写真、いいですよ。「本書に登場する局地風」として、世界地図もきちんと載せられています。

目次
ヨーロッパの風 1~20
アルプス周辺の風 21~27
地中海周辺の風 28~45
アフリカの風 46~55
北アメリカ・南アメリカの風 56~76
オセアニア地域の風 77~82
アジアの風 83~100
 世界風名集
 日本風名集
 あとがきにかえて
 風の気象用語
 撮影者リスト
 参考文献/ブックガイド