「爆心」/信ずる人々 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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青来 有一
爆心

目次







目次がちょっと変わった作り。
釘を頂点として、時計回りに、石、虫、蜜、貝、鳥と六作品が円形に並べられている。

主人公となる人物の年齢も性別もバラバラだけれど、共通しているのは、長崎を舞台としていること。長崎と言えば、被爆地であるとともに、キリスト教とも縁の深い土地でもある。多くの殉教者を生みながらも、先祖代代、愚直なまでに神を信じてきた、彼らに与えられた運命とは? のみはちょっと違うけれど、苦しみがまだ足りないとばかりに、なぜ彼等に苛酷な運命が襲うのか。

描かれていることは、結構辛いことが多いのだけれど、穏やかな人々が操る方言のせいか、どこかやさしくもある。どんな辛い出来事が人々を襲おうとも、そこで人生が分断されるわけではなく(分断されるに等しい出来事もあるけれど)、それでも彼らの生活は続いていくし、一歩一歩、家族や支えてくれる人々と共に、生きていくしかないのだよなぁ。

■もともと、読むきっかけとなった、作家、桜庭一樹さんの「読書日記」の記事に
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