「古本道場」/当世古本事情 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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角田 光代, 岡崎 武志
古本道場

作家の角田さんを弟子とし、岡崎さん(私は知らなかったのだけれど、書評を中心に活躍するフリーライターだそう。これ読んだあと、図書館で著書を見かけました!)を師とする古本道場。毎回、師から指令が出され、弟子・角田さんはその指示に沿って行動する。そこは作家、角田さんであるからして、師に対する報告も、やはりまた読ませるのです。角田さんの旅エッセイも読んでみたいなぁ、と思ったことでした。実際、この本を書いている最中にも各地を旅されていたようで、さらりと書かれているそれにも興味を持っちゃったのです。

目次
古本道場 其の一 入門心得
神保町
古本道場 其の二 なつかしい、あの本と再会
代官山・渋谷
古本道場 其の三 代官山で知る古本屋の未来形
東京駅・銀座
古本道場 其の四 夜のパラダイスよ、花の東京
早稲田
古本道場 其の五 早稲田古本街で青春プレイバック
青山・田園調布
古本道場 其の六 ついに二階級特進!
西荻窪
古本道場 其の七 西荻村を満喫
鎌倉
古本道場 其の八 土地柄と値段を学ぶ
ふたたび神保町
 古書店一覧
 あとがき


私が普段行く古本屋は、所謂チェーン展開しているようなお店で、ここで出てくるような古本屋ではないのだけれど、絵ハガキがあったり、蔵書票があったり、昔の映画のパンフレットがあったり、紙という文化そのものを愛するような、こういう古本屋さんも良いなぁ、と思いました。

児童書・絵本が専門の古本屋さんなんてものがあるのだとは知らなかったし〔神保町・呂古書房〕、同じく東京駅の八重洲の地下街に古本屋があることも知らなかった〔八重洲古書館〕。古本屋街がくっ付いている、早稲田の町での学生生活は羨ましかったなぁ。

これ、この本自体もとても美しい作りで、表紙は角田さんご自身の本棚だそうです。味のある本棚ですよね。ポプラ社って、昔は児童書でお世話になったものですけれど、最近ずいぶん頑張ってますよねえ。

でも、これ、第二刷なのに、実は誤植を発見してしまいました! 誤植を見つけると、なんかドキドキしちゃうのは私だけ???
(p175 ×抱負→○豊富 だと思う)

さて、角田さん、さんざんご自身が育ったところは田舎で、一軒あった本屋も、田舎にありがちな品揃え(週刊誌と文房具と漫画雑誌を売っている)だったと書かれているんだけれど、横浜市出身と書いてあるのですよね。うーん、横浜でもそんな? つか、横浜の山側に育ったとか、海と言えば鎌倉とか、大船観音を見て「大船を通過するとき見える大船観音は、これくらい大きいんだよな、という大きさをいつも上まわって大きい。」とか、何だか私の育ったところと近いように思うのだけれど、うーん、横浜のどの辺なのかしらん。

なんて、個人的興味は良いとして、角田さんが買われた本は、趣味が良すぎて、私には分らない物もたくさん…。そういう意味で、作りはポップで美しい感じになってるし、柔らかい語り口だけれど、なかなかに侮れない物があります。私にとっては、釣り好きの気のいいおじさんである、開高健さんのベトナム戦争でのエピソードも知らなかったし(開高健はアメリカ軍の最前線に加わってルポを書いていた時に、戦闘に巻き込まれる。この戦闘で助かったのは、二百人中たった十七名)。

人によっては、単なる汚い本になってしまうかもしれない古本。でも、どこかの誰かの血や肉となり、愛された本がまた新たな読者を得ていくとすれば、こんなに素敵なことはないよねえ。

<関連過去記事>
・「対岸の彼女 」/大人になるのは何のため?
・「空中庭園 」/砂上の楼閣
・「人生ベストテン 」/浮遊するこころ

ニシオギと言えば、古川さんのこちら!
ここでは、「サブカルチャーの整った田舎」と書かれているのだけれど、やっぱり何だか独特な街なようで、行ったこともないのに、私の中での西荻窪イメージがどんどん固まって行きます。笑
・「サウンドトラック 」/青春を駆け抜けろ