「アジア古都物語 京都」/水の都、京都 | 旧・日常&読んだ本log
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- NHK「アジア古都物語」プロジェクト
- 「NHKスペシャル アジア古都物語 京都―千年の水脈
」
日本放送出版協会
何でわざわざ「京都」の本を読んだかといえば、それは、ここのところ、京都を舞台にした物語をいくつか読んでいて、京都という土地自体に興味を持ったため。
万城目学さんの「鴨川ホルモー
」などというけったいな物語の舞台となり、森見登美彦さんの「きつねのはなし
」、「太陽の塔
」を生み、梨木香歩さんの「家守綺譚
」の主人公・綿貫が住むのも琵琶湖疎水近くの家。
そんな京都とは一体どんな都市なのか??
目次
千年の水脈たたえる都 井上勝弘
バスから見えた都の原風景
京の雅を支えた奇跡の水
馬琴も惚れた鴨川の水の不思議
姿を現した巨大な水甕
都の水源「カモ」の聖地
「鴨脚」を名乗る一族
一直線に並ぶ「緑の道」
千年の叡智、そして現代の危機
京都の地下水 楠見晴重
[一]地下水とは何か
[二]京都盆地の地質構造
[三]京都水盆
[四]京都盆地の水脈
Asian Talk
水の都・平安京 山田邦和
鴨川と葛野川
平安京内の川
貴族と庭園
平安京の都市民と水
あとがき 森崎義人
参考文献
放送記録
千年の古都、京都。
京都は老舗の多さでも知られるけれど、たとえば染色、たとえば豆腐、たとえば酒。これらの生業は豊かな井戸水、即ち、京都の地下水によって成り立っていた。
ここで言う京都における豊かな水とは、地表に出ている川の流れだけではない、脈々と流れる地下水脈の流れを言う。
奈良時代、京都盆地一帯は、山向こうの鄙びた土地という意味の、「山背」と呼ばれたのだという。奈良盆地よりはるかに広く、新京に相応しい場所。そこはまた、巨大な地下の水甕を持つ、都に相応しい場所であった。
水の聖地「カモ」の地を守ってきたカモ氏の話、下鴨神社、糺の森の話などが興味深かった。”みたらし団子”は、この糺の森にこんこんと湧いた水、みたらしの池の丸い水泡の形をまねて作ったものなのだって。
シミュレーションの詳しい事などは(私には)良く分からないけれど、京都の巨大な地下の水甕を図解化する場面など、ぞくぞくきた。地表に出ている水の流れだけが、全てではない所も面白かったなぁ。
京都はやっぱりちょっとトクベツな都なのかも。